ブラジル情報ブラジルに関する基礎知識
植民地時代初期から、農業はブラジル経済の中心的な存在である。プランテーション農業により、ブラジルは世界経済と結びついてきた。この農業経済の基礎は、単一の輸出用作物を栽培する大規模農地であり、その生産には奴隷の労働力が使われてきた。１６世紀のサトウキビ栽培に始まり、「爆発的なブーム」となった後衰退していく農業サイクルが綿花、ココア、ゴムそしてコーヒーに見られた。
1970年代に入り、輸出農産品の数は全般的に増加していった。大豆による収益は、コーヒーやココア、サトウキビなどの伝統的産品を凌ぐまでに至った。半加工品や加工品の量も種類も増え、また、その輸出額も増加していった。これは、農作物より加工品の生産を奨励した政府の政策によるものである。
1990年代に入っても、ブラジルは、世界最大のコーヒーと砂糖（サトウキビから精製）の生産国としての地位を維持している。また、ココア生産は世界第２位、タバコ栽培は世界第４位、そして、綿花栽培は世界第６位である。この20年間、小麦、米、トウモロコシ、特に大豆などの穀類の生産は一貫して伸びている。林産物、すなわち、ブラジル・ナッツ、カシュー、ロウ、繊維、特にゴム（かつてはブラジルの重要な輸出品であった）は、そのほとんどが裁植耕作により生産されており、以前のように天然林から採取されることは少なくなった。果物に関しては、ブラジルの多様な気候帯により、ほとんど全種類を栽培することができる。北部では熱帯の果物（様々なナッツやアボカド）が、そして、南部の温暖な地域では柑橘類やブドウが栽培されている。1992年には、ブラジルのオレンジの83.6％が濃縮ジュースとして輸出され、15億ドルの収益を上げた。また、ブラジルは世界第４位の牛肉生産国であり、輸出においては世界第５位である。
アメリカのハンバーガーやバナナ・スプリットのように、ブラジル料理は、伝統と偶発的な出来事の産物であると言える。ブラジルのそれぞれの地方では、その土着の文化や、ヨーロッパのどの国民による入植であるか、川や海との距離、降雨量、土壌の状態などにより、様々な独特の料理が発展してきた。
バイーア料理の起源は、農園主が毎日の食事や記念日のご馳走の残り物を奴隷に与えていた奴隷制の時代に遡る。奴隷達の中には、魚を釣ったり、エビや貝をとったりすることが許されていた者もあった。奴隷の女性たちは、アフリカの料理を思い出して、それぞれの材料を鍋に入れ、ココナッツ・ミルクやヤシから作ったデンデ油を加えて調理した。その後、これらの料理はレシピに残され、名前が付けられるようになった。
1-ヴァタパ（Vatapa)
エビを魚と一緒に細かく切るか、またはすり身にして、デンデ油、ココナッツ・ミルク、そしてパンと一緒に煮込む。出来上がったら、白いライスの上にかけて食べる。
2-サラパテル（Sarapatel）
豚か羊の肝臓と心臓を新鮮な血と混ぜ、トマト、ペッパー、玉ねぎを加えて煮込んだ料理である。
3-カルル（Caruru）
ソテーしたエビに、レッド・ペッパーとオクラから作った、非常にピリッとするソースをかけて食べる。
アマゾン流域の料理では、パト・ノ・トゥクピ（pato no tucupi）が美味しい。これは、カモ肉に、野生のグリーン・ハーブをふんだんに使ったコクのあるソースをかけて食べる。この料理を食べた人は、グリーン・ハーブのため、食後何時間も胃がヒリヒリするに違いない。干エビとニンニクで飾られた黄色い濃厚なスープのタカカ（tacaca)も、この地方を代表する料理である。
リオ・グランデ・ド・スール州ではシュラスコ（churrasco）が有名だ。これは、牛肉を金串に刺して、屋外で炭火焼きにしたものである。トマトと玉ねぎでできたソースをかけて食べる。また、ブラジル奥地のガウショス（gauchos）は、去勢牛を丸ごとシュラスコのように炭火焼きにしたものである。
ブラジル料理を代表する料理を一つあげるとしたら、それはフェイジョアーダ（feijoada）であろう。この料理はリオ・デ・ジャネイロで特に人気がある。これは、豆と、干した牛肉、スモーク・ソーセージ、牛舌、豚の耳とシッポ、ニンニク、チリ・ペッパーなどを一緒に煮込んだ、豊かな味のする料理だ。普通は、スープ皿に白いライスを盛り、スプーンでフェイジョアーダをかけて食べる。この上に、マンジオッカというイモの粉(farofa)、つまり、デンプンを加えると一味違ったものになる。また、ちりめんキャベツと輪切りのオレンジが添えられる。
海外からの観光客の多くは、ブラジルのビールは西半球で最も美味しいものの一つだと感じるだろう。それもそのはず、ブラジルでは何世代もの間、ドイツとオランダの熟練したビール醸造者が、ブラジルの主要なビール会社全ての製造と加工を指導してきたのである。 ブラジルは、サトウキビを発酵して、純度の高い透明なラム酒、カシャッサ（cachaca）を製造している。このカシャッサに、刻んだライムと砂糖と氷を加えると、カイピリーニャ（caipirinha)と呼ばれる非常に人気のある飲物になる。また、ガラナ（guarana)は、アマゾン川流域の果物から作られた、ブラジル独特の美味しいジュースである。